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院長からの手紙

むし歯のないお子さんがもっと増えたら・・・
年をとっても自分の歯でちゃんと咬めるように・・・

そんな思いを手紙にしました。
特に小さなお子様を持つお母さんに読んでいただきたい内容です。

1,

子供の歯磨きとむし歯予防

2,

むし歯と食生活 〜その1〜

3,

むし歯と食生活 〜その2〜

4,

歯科検診

5,

歯科医の治療法

6,

砂糖とむし歯 〜その1〜

7,

砂糖とむし歯 〜その2〜

8,

むし歯を防ぐ確実な方法

9,

フッ素について

10,

いただいたご質問にお答えします

11,

私がむし歯予防に力をいれるようになった理由

12,

最後の手紙


先日、子供の歯磨きで苦労されているというご相談がありましたので、子供のブラッシングについて私の考えていることを書かせていただきます。

みもと歯科医院に来院するお子さんの中にも「歯ブラシ嫌がって大変です」というお子さんが多く来られます。

上顎の筋(上唇小帯)のところに歯ブラシが当たって痛いというのも1つの原因です。仕上げ磨きも痛くなくうまくできるようになればそれにこしたことはありませんが、みもと歯科医院では嫌がる者を無理に押さえつけてまでしなくていいし、自分で歯ブラシに興味を持ってするまで仕上げ磨きもほどほどでかまいません、と指導しています。

子供の歯ブラシの目的は主にむし歯予防ですが、残念ながら歯ブラシを一生懸命してもむし歯ができる子供さんもいますし、歯ブラシをほとんどしなくてもむし歯のないお子さんもいます。歯ブラシの出来とむし歯の出来具合にはそれほど相関関係はありません。

それではどうしてむし歯ができるのでしょうか。

むし歯の原因を一言でいうと「砂糖の取りすぎ」にあるといえます。砂糖自体は取りすぎなければ悪い食品ではありませんが、取りすぎるとむし歯や肥満、カルシウム不足などを引き起こします。

砂糖を白いままで直接取ることは少ないですが、いろいろな食品に隠れて含まれています。特に子供のむし歯で一番原因になるのがジュースとアメです。

ジュースはおおむね10%が砂糖です。健康にいいと宣伝されているスポーツドリンクなども含めて、毎日ジュースを飲む習慣のあるお子さんはいくら一生懸命歯ブラシをしても、むし歯になります。ジュースやアメを食べる習慣のないお子さんは歯ブラシをしなくてもむし歯になりません。

みもと歯科医院では仕上げ磨きを一生懸命するよりは、ジュースやアメを食べない生活習慣にしていただくことに、むし歯予防の重点をおいて指導させていただいています。

食べ物の勉強に関しては、フーズアンドヘルス研究所の幕内秀夫先生がいろいろな本をだしていますので興味のある方は読んでみてください。
ホームページはここをクリック

ジュースは歯周病にも悪く、成人の方でも缶コーヒーを毎日飲まれる方や、コーヒー・紅茶に砂糖を入れて飲まれる習慣のある方は、通常では考えられないくらい早いスピードでむし歯が進行したり、歯を支えている骨が溶けていきます。

残念ながらどんな名医の先生でも、いったむし歯になった歯をもとどうりにはできませんし、減った骨を回復させることも困難です。歯科の疾患の場合、悪くなって治療するよりも、悪くならないように予防していく方がよっぽど楽で痛くなく、お金も時間もかかりません。

むし歯のない健康なお子さんを育てることは、すごく簡単にできます。



赤ちゃんが生まれて、離乳期、乳児期に入ると一生涯の食生活がスタートします。

食物の味覚には、甘味・塩味・うま味・酸味・苦味の5原味があります。
これらの味覚は人間が生きていく上ですべて必要な味覚ですが、この中で赤ちゃんは甘味を特においしいと感じます。

このことを確かめるのにある学者が実験をしました。赤ちゃんに甘味の異なる液をほ乳瓶に入れて飲ませましたが、赤ちゃんは甘味の強いもの程多く飲んだそうです。そして、その液に今度は酸味を加えたところ赤ちゃんは飲むのをやめました。

甘味というのはエネルギーを得るために人間が本来好む味覚なのです。
それに対して酸味や苦味はビタミンやミネラルの味でこれも人間が生きていく上で必要な味覚ですが、乳幼児期に好まれる味ではなく、離乳期や乳幼児期の食体験によってこれらの味に慣れ、徐々に好まれるようになっていくのです。つまり、酸味や苦味は学習体験によって受け入れられるようになるのです。

ですから、幼児期に酸味や苦味のトレーニングが必要になってくるのです。酸味や苦味がトレーニング不足のままであれば、いつまでたってもこれらの味の食品を受け入れることができなくなってしまいます。

甘味・塩味・うま味は本能的に求める味ですから、幼児期から学童期にかけてこれらの味ばかり体験していると、甘味や塩味の濃い味付けのものしかおいしく感じなくなるのです。

そして、その結果、甘い清涼飲料・塩辛いスナック菓子・これらの味をミックスした濃い味付けの加工食品の大好きな子供に育ってしまいます。お菓子や食品のメーカーは人間の味覚を研究しつくして化学調味料を使っておいしい製品を作ってきます。そこには、売れることが一番で健康は後回しになっています。先日世間を騒がせた耐震強度問題のように。

乳幼児期は、自然にあるものの味、野菜やくだもの・魚介類などをおいしいと感じるお子さんに育ってほしいと願っています。野菜を食べるお子さんにはほとんどむし歯がありませんし、むし歯の多いお子さんは決まって食べ物の好き嫌いがあります。特に野菜嫌いのお子さんが多いのが特徴です。

人間が乳幼児期の味覚に左右されるという証拠にこういう事実があります。
オオカミに育てられた女の子の話をご存知でしょうか。1920年、インドのカルカッタ村の山中に、怪しげな人影がでるといううわさが流れました。シング牧師夫妻がそのうわさを確かめに行ったところ、オオカミの洞窟の中に2人の少女を発見しました。なんと、この2人はオオカミに育てられていたのです。

アマラとカマラと名付けられた2人の少女はシング牧師夫妻によって養育されましたが、4本足で歩き、生肉しか食べず(もちろん手は使いません)、夜になると目を輝かせて遠吠えするのです。その後、人間に戻るように献身的に養育されましたが、人間の食べるものにはなじまず生肉を好物としたそうです。

人間は、好きな物を食べるのではなく、小さいころ食べたものが安全だと学習してその食べ物を好きになっていくのです。アマラとカマラにとっては、生肉がお袋の味となり、主食でした。

その後、アマラは1年くらいで死んでしまいましたが、カマラは9年間、シング牧師夫妻のもとで養育されました。しかし、直立歩行や、言語の習得などほとんどできないまま短い生涯を終えました。

歯の病気はむし歯と歯周病ですが、これらの病気は原始人にはありませんでした。人類は食品を加工するようになってから増えてきました。まずは、火を使うようになったことです。しかし火を使うぐらいではたいした問題になりませんが、砂糖を使うようになって急増してきました。

野生の動物は歯を磨きませんが、むし歯も歯周病もありません。
ところが人間が飼っているペットにはむし歯や歯周病がみられます。

むし歯や歯周病はいわば文明病ともいえます。乳幼児期になるべく自然に近い食品を好きになってもらうことが歯を丈夫に保つ一番の秘訣といえます。


前回、赤ちゃんに甘い水を飲ませる実験の話をしました。

赤ちゃんは甘味の強い水程多く飲むということでした。これを日常生活で置きかえてみると、甘い水というのは、まさしくジュースなどの清涼飲料水のことです。ですから、乳幼児期にジュースを与えると必ず飲むし、好きなっていきます。炭酸入りでも飲みます。

乳幼児期にむし歯のあるお子さんに問診してみますと、必ずジュースを飲んでいます。そして、もう一つ気をつけてもらいたい食品が“アメ”です。これも習慣になりやすく、いったんアメの魔力にとりつかれますと、なかなかやめるのが困難になります。

大人のたばこでもそうですが、たばこを吸わない人にとってはどうってことないですが、たばこを吸う人にとっては、禁煙は大変な決意と努力を要します。最初の1本を吸わないことが大切です。

アメも、そのうちどこかでもらって味を覚えてくるとは思いますが、なるべくその時期を遅らせてほしいと思います。大きく成るまでは、なるべく買わないようにしてください。アメが食べ物という認識がない子供はアメを欲しがりません。

そして、むし歯の多いお子さんに食事をあまりとらないということがあります。

よくよく話を聞いていみると、ジュースやアメでお腹を満たしているようです。ジュースやアメは固形物ではないのでお腹がいっぱいと感じないと思われますが、私たちが空腹感や満腹感を感じているのはお腹の胃ではなくて、実は脳にある満腹中枢というところが感じているのです。

お腹に食べ物が入ると血液中の血糖値が上がって血液を介して満腹中枢を刺激してお腹がいっぱいです、もう食べられませんという指令を出しているのです。

ところがジュースやアメは飲んだりなめたりすると、吸収が早くすぐに血糖値を上げて実際には満腹ではないのに満腹ですよという指令を満腹中枢に与えます。糖尿病の人が低血糖の発作のときにアメが効果があるのはすぐに血糖値を上げるためです。

余談ですが、旅行に行って旅館に着くと必ず甘いお菓子を置いています。これは食前に食べてもらって食欲を減らすねらいがあるのです。ですから、旅館のお茶菓子は夕食後に食べるようにしましょう。

もう一つ余談ですが、拒食症や過食症は、この満腹中枢に障害のある病気です。ですから、実際には空腹でも食欲がなかったり、お腹がいっぱいでも食欲があったりします。無理なダイエットや過度のストレスなどが原因の生命に危険のある難治性の病気です。

ジュースは「粗食のすすめ」の著者である幕内秀夫先生に言わせると「飲む点滴」という表現をしています。病気でもないのに毎日点滴を打っているようなものだ、というのです。お子さんに勧めたくないおやつの筆頭にジュースをあげています。

歯だけではなく体にも良くないようです。コマーシャルで健康にいい、という風に宣伝されていますが、スポーツドリンクなども含めてジュースの1割はお砂糖であるということをぜひ皆さん知っておいてください。

私は現在、高校の校医をしていますが、以前生徒に1日何本ジュースを飲みますか、というアンケートをとったことがあります。そしたらだいたい平均で2〜3本でした。飲まない生徒さんはほとんどいませんでした。逆に多いお子さんになりますと5〜6本、また1リットルのペットボトルでもよく飲んでいる生徒もいました。

高校生になれば、いろいろなつきあいもあり、自販機やコンビニがあふれる中でジュースを飲まない生活は難しいかもしれませんが、一生健康な自分の歯でいたければジュースとアメはなるべくとらないようにしていただきたいと思います。

コーヒーに砂糖を入れて飲まれる習慣のある方も急速に歯を悪くしますのでご注意してください。
ジュースや食べ物の話をすると熱くなって、なかなか歯の話にたどりつきません。

食べ物や飲み物と健康の関係についてもっと詳しくお知りに成りたい方は、フーズアンドヘルス研究所めばえ社のホームページをごらんになってください。

本もたくさん出ています。買うのがもったいない方はみもと歯科で無料でお貸しします。



私の仕事は歯科医ですが、時々同級生や同級生のご家族も来てくれます。私の年齢は四捨五入して40歳になります。自分では若いと思っていますが、同級生の歯が悪くなっていったり、髪の毛が薄くなっていったりするのを見ていると、年齢を意識してしまいます。

先日も、同級生の歯 (第一大臼歯)を残念ながら抜歯することになりました。他の歯はほとんど悪くないのに、抜歯になった左下の第―大臼歯だけ何回も治療したにもかかわらず悪くなってしまったと言います。

彼は性格的にもまじめで、一生懸命歯医者さんに通ったにもかかわらず、5〜6回詰めたり、かぶせたりをやり直ししてとうとう抜歯にになりました。本来なら、あと50年は使いたい歯です。以前治療してくれた歯医者さんもきちんと治療してくれていた歯にもかかわらず。

私たちの仕事は、むし歯を削って詰めたり、かぶせたり、抜歯したりといったことが大半を占めます。

抜歯になった原因を考えると、行き着く先はどうしても最初に第―大臼歯を治療したことにさかのぼります。

この第―大臼歯は、人間の歯の中で―番大切な歯、咬む力の中心となる歯です。それにもかかわらず、一番むし歯になりやすく、6歳の頃に萌出するので6歳臼歯ともよばれています。 小学1年生のころ生え始めますが、小学6年生になると平均で4本ある内の3本はむし歯になって削って詰められてしまいます。

あなたのお口の前から数えて6番目の歯 、―番大きな歯ですが 、ごらんになってみてください。きっと何かの詰め物がされているか、かぶせ物をしているはずです。もしかしたらもうすでに抜歯されていてブリッジになっているかもしれません。

残念ながら私の第―大臼歯も4本とも全滅です。悲しいかな大きな詰め物がされています。どうしてこのような結果になったのでしょうか。その―番大きな原因は私は歯科検診にあると考えています。

1歳6ヶ月からはじまって、3歳・保育園・小学校・中学校・高校と20歳になるまでにいったい私たちは何回の歯科検診を受けるのでしょうか。その都度厳しい検査の目によって治療しなくてもいいような小さいむし歯も、むし歯の記号のついた紙をもらって歯医者さんに行くように勧められます。紙を提出しなかったら宿題を忘れたかのような気分になります。

そして丁寧に治療していただいた結栗、歯に金属やプラスチックの詰め物がされていきます。その詰め物ほ永久的な物ではなくて、平均して10年未満でやり直しを余儀なくされ、その都度歯は大きく削られて、神経を取られ抜歯へと近づいていきます。

歯の検診には、むし歯を予防するという概念はなくて、むし歯を見つけては詰めていくという、いわば患者さんの為というよりは、歯科医が収入を得るための検診のような気がしてなりません。

左下の第―大臼歯が抜歯になった彼の場合も、歯の神経に達するむし歯が他になかったことを考えると、最初に第―大臼歯を冶療したのが―番大きな原因だったと考えられます。

歯医者になって思うのですが、日本人の歯はどう考えても削られすぎています。皆さんも歯医者さんへ行って歯を削られなかったことはないと思います。

8020運動といって80歳で20本の歯を残しましょうという運動をやっていますが、私は削られすぎている歯を改善しない限りはこの数字は到底不可能だと思っています。現往の日本人は80歳で7本しか残っていません。

髪の毛なら、痛くも痒くもなく目然に抜けていきお金もかかりませんが、歯は失う過程で、腫れたり、病んだりしてお金と時間を使い、苦痛を味わいながら抜歯になっていきます。

医療保険制度も、歯を削ったり、かぶせたりすることに多くの報酬が支払われます。ですから、歯医者も収入を得るためには歯を削る必要があるのです。歯科大学教育も、むし歯は削って詰めるものと習いましたし、現在もそう教えています。このあたりから変えていかないとなかなか8020は難しいと思います。

また、別の同級生ですが今度6本インプラント治療をすることになりました。1本が平均で30万しますから、約高級車1台分の出費です。それでも、同級生にはまだ義歯をいれたくないし、彼にもおいしく食べていただきたいと思っています。彼もまじめな性格で、小さい頃からずっと歯医者へかかり続けて、そして今回も多額の出費となりました。

いったい今までいくら歯科治療にお金を費やして来たことでしょうか。私たちが行っている治療の大半は、むし歯治療のやり直しです。ほんの少しだけ 予防歯科の知識と実践があれば不必要なことと感じています。もしあなたのお子さんが20歳までむし歯なしでいられたら、20〜50歳まではあまりむし歯にもなりません。歯医者にいくことも少なくてすむはずです。

今度も医療保険の改正がありますが、これから先、医療費は上がることはあっても下がることはありません。親からいただいた健康な歯を一番安くて、痛くなく、きれいないい方法だと思います。



私は歯科医になって10数年になりますが、むし歯をつくると経済的にも精神的にも時間的にも審美的にも本当に損失が大きいと実感しています。

ですから、これを読んでいただいている皆様には、少しでもそんなもったいないことをしてほしくないと思っています。ほんの少しの知識の実践で簡単にむし歯予防はできます。

お母様方のなかには、むし歯を作っても歯医者へ行って治療すればいいと思っておられる方も多いと思います。しかし、私たち歯医者の側から言わせていただければ、むし歯はいったんなってしまえば元通りに戻らないということをぜひ知っていてください。

特に乳歯がむし歯になった場合、小さなお子さまですとなかなか充分な治療が行えませんし、乳歯の場合、歯のすぐ近くに神経がきているので、むし歯ができるとすぐにむし歯が神経にまでいってしまいます。

そのため、充分な治療ができず、詰めてもすぐにはずれたり、歯の神経が痛んだりします。また歯肉も腫れやすく、場合によったら顎まで大きくはれることも珍しくありません。

歯科医の言い訳になるかもしれませんが、歯の神経の治療もなかなか完治が難しく、治療に何回もかかります。歯医者泣かせの乳歯のむし歯です。

よくお母様方から、治療した歯なのにどうして歯が痛むのですかというご質問を受けますが、治療した歯だからこそ腫れたり、痛んだりする可能性が高いということを知っておいてください。これは、永久歯についても言えることでして、治療した歯はトラブルをおこすリスクが高くなります。健康な歯は痛むことも腫れることもありません。

お母様方の中には、歯の治療費が高いと思っておられる方も多いと思います。しかし、健康な歯がむし歯になるには、高いジュースやお菓子やアメなどを買って、治療費の何十倍ものお金と時間を使って悪くしていきます。さらに、歯医者で時間をかけて通院し、高い治療費を払っていただいて、さらに歯を壊していきます。

私は歯医者でありながら、むし歯の治療費くらいもったいないものはないように思います。ただし、いったんむし歯をつくってしまえば、見た目も悪いし、むし歯も進行するし、やはりなんらかの処置は必要となってきます。このような理由から、私の医院では治療する必要がないとおもわれるむし歯はなるべく治療しませんし、乳歯のむし歯に関してはほとんど歯を削る治療をしなくなりました。

むし歯の治療にお金や時間を費やすくらいなら、その分でリトミック音楽教室でも通わせてあげてください。

先日も60歳代の女性の患者さんが来られて、残念ながらむし歯と歯周病で歯がだめになってとうとう義歯にしないといけなくなりました。

「 先生なんとか義歯にしなくていい方法はありませんか」と涙を流してたのまれましたが、私は神様ではないので、ぐらぐらの歯を動かないようにはできないし、むし歯で崩壊した歯ももとどおりにはできません。

入れ歯の宣告するのは、お医者さんががんの宣告をするのと同じくらいつらいものです。ただし、がんは体のいたるところにできるので予防が難しいですが、歯の病気は若いときから予防していけば入れ歯になることはありません。

でもこの女性が特別なわけではなく、平均的な日本人はだいたい60歳くらいから義歯になっていきます。

少なくともこれを読んでいる皆様には将来入れ歯になるようなことのないように具体的なむし歯予防の要点や上手な歯科のかかり方などについて書いていこうと思います。


今まで読んできていただいた皆様には、ほぼご理解していただいていると思いますが、―番大切なことは、早い時期にジュースやアメを与えすぎないようにしていただくということです。

先日も2人のお母様から興味深いお話を伺いました。

1人のお母様は1歳すぎて子供にアメを与えたところ、アメがやめられなくなって苦労をしているということでした。

もう1人のお母様は、お母様ご自身がむし歯で苦労された経験をお持ちのお母様です。間もなく3歳になるお子様ですが、今だにジュースやアメをほとんど与えていません。現在ジュースやアメを与えても欲しがらないとおっしやっていました。逆に小児科でだされるシロップの飲み薬も甘くて嫌がるそうです。

この2人のお母様のお話を伺って、味覚の重要性を再認識しました。
またジュースやアメをあげていないお母様は子供の歯をあまりきちんと磨かないともおっしやっていましたが、むし歯は1本もありません。

逆にむし歯のあるお母様から時々ご質問をうけるのですが
「歯磨きもきちんとして、仕上げ磨きもきちんとしているのにどうしてむし歯になったのしょうか?」と、残念ながらいくら―生懸命歯磨きしても、甘い物を取りすぎていたのでは必ずむし歯になってしまいます。

お母さんの中には、子供においしい物をやらないのはかわいそうだといわれるお母様もおられます。でも、むし歯になって痛い思いをしたり、歯が腫れたりしてつらい思いをするほうがよっぽどかわいそうだと私は思うのですが・・。

どちらがかわいそうかお母様がご判断してください。私は子供のときに甘い物をなんでも食べてむし歯や歯周病になって歯がなくなり、年をとって硬い物やおいしいものがたべられなくなるよりも、小さい時に甘いものを少し我慢して、年をとってもいかの刺身や、焼き肉を食べれる方がよっぽど幸せだと思います。

私の医院に来た年輩の方で歯のいい方に色々と質問してみると、必ずジュースやコーヒーなどは飲まないし、あまり間食をしないといいます。また硬いものが好きで、なんでも食べられるといいます。そしてそんなに―生懸命歯をみがいているわけでもありません。体も元気な方が圧倒的に多いように感じます。

昨日も近所の高校へ歯科検診に待ってまいりました。歯のいいお子さんもおられますが悲惨な状態のお子さんもたくさんおられます。この年代になってくるとなかなか私たちの言うことを聞いてもらえません。何人かのお子さんにジュースどれくらい飲むか聞いてみましたが、ペットボトルが当たり前でした。

帰りに保健の先生に案内されて食堂の前の自販機を見させていただきましたが、缶コーヒーやスポーツドリンク、炭酸飲料が入った機械が3台ありました。これではむし歯や歯周病を予防することは難しいな、と思いました。

高校生の時点で歯が悪くなってはもはや手遅れです。高校生の時点で私はそのお子さんの歯がだいたい何年持つか予想ができますが、本当に困ってくるのが10年20年先です。高校生の時点でも手遅れですが 20年先はもっと手遅れです。入れ歯しかありません。これだけ自販機やコンビニがある国では目分で健康に気をつけていくしか目分の健康を守る方法はありません。

できれば小さいうちから健康観を身につけていって欲しいと思っています。
私が、どうして食べ物にこだわるかといいますと、昔の病気は、肺炎や結核や破傷風などのような感染症がメインでした。しかし現在では、ガンや心臓病、脳卒中、高血圧、糖尿病、肥満など、生活習憶病が大半になってきました。これは、おおくは食べ物が由来で起こる病気です。

ですから、治療もお医者さんから食生活の改善や禁煙など生活習慣の改善を求められます。糖尿病や高血圧、肥満の方は歯もすでに悪くなっている場合が多く、食生活を改善しようにもうまく改善できません。歯を悪くすると硬い物が咬めないから柔らかいものを好む傾向が多くなります。

柔らかい食品は、栗子パンや麺類、ハンバーガーなどの加工食品が多く、カロリーや糖分、脂分が益々いきすぎ、生活習慣病を益々悪化させていきます。極端な話、寿命まで短くしていきます。

また、歯の病気がもとで、糖尿病や高血圧、心臓病、腎臓病、蓄膿などの病気を引き起こすことがわかっています。要するに、歯によくない食品は体にも良くないということです。

むし歯の予防だけを考えた場合、フッ素を使って定期健診を行っていけば、そこそこジュースを飲んでもむし歯にはなりませんが、フッ素では歯周病までは予防ができず、お子さまの長い歯生活を考えたときに、きちんとした食生活を身につけていただくことは、一生健康でいられる必要条件といえます。

最近では、テレピなどで寒天がいいというと、寒天が売り切れたり、ココアがいいというと、ココアが売り切れたりします。歯にはキシリトールがいいからとキシリトールのガムが売られています。

体にいいものを取ることほもちろんいいことではありますが、体に良くないものを取らないことのほうがもっと大切です。テレビのコマーシャルで水分補給のため寝る前にスポーツドリンクを飲みましょうという宣伝を行っていました。びっくりしましたが、きっと実践されている方も多いかと思います。

歯が悪くなるのは結構です、儲かるのは歯医者ですから。これを読んでいる賢いお母様はこのような選択はしませんよね。ちまたには色々な情報が氾濫しています。何が正しいか自分で判断していかないととんでもないことになります。

体にいいものとは、近くで取れて、安く手に入る物です。遠くで取れて高い物は体にもよくありません。輸入もののオレンジよりは、温州みかんにしてください。バナナも悪くありませんが、バナナ農園では虫も飛ばないくらい農薬を使っています。外国人は他国の人間の健康のことまで考えていません。売れることが第―なのです。アメリカの輸入牛肉がいい例です。平気で危険部位である脊髄の骨を入れてきます。

「粗食のすすめ」の著者である幕内さんは、「FOOD(食べ物)は風土である」と言っています。輸入小麦で作ったパンよりはご飯を食べましょうといっています。



先日ある先生のお話をお聞きしたところ、1日のお砂糖の目安が体重の2分の1グラムとおっしゃっていました。 体重が30kgのお子さんなら1日の砂糖量は15gということになります。

みもと歯科医院でも医院が暇だったころ (今でもそんなに忙しくありませんが)子供さんに協力してもらって3日分の食べた物すべてを、記録にとったことがあります。

3歳から12歳くらいのお子さまを対象に調べましたが、食事以外でのお砂糖の摂取量が平均で50グラムくらいでした。これに調理のお砂糖を加えると70グラムくらいは1日にとっているものと思われます。なかには、おやつだけで100グラムを越えているお子さまも珍しくありませんでした。

お砂糖の計算をするときに、やはりジュースが圧倒的にお砂糖の大部分を占めており、私の実感として子供のむし歯はジュースを減らせば激減するのではないかと思います。

しかし、テレビのコマーシャルではジュースの宣伝も多く、健康を掲げたものも多くありますが、本当に健康にいいかは消費者自身がよく考えるべきだと思います。

よく、野菜ジュースはどうですか、とか、果汁100%ジュースならいいですか、という質間を受けますが、私は野菜ジュースよりほ野菜のほうがいいと思うし、果汁ジュースも家で搾ったもののほうがいいと思います。

また、テレビの宣伝でお砂糖は栄養価が高く、グリコーゲンをすぐに脳に供給する優れた食品です。だから、お砂糖をたくさん取りましょうという宣伝がありました。戦時中ならともかく、現代人はすでに多くのお砂糖を取りすぎています。むしろ、日常生活でいかにお砂糖をとらないかを考えてゆくべきです。

今まで私が書いたものも、歯のことよりほとんど食べ物のことばかりでしたが、とても、大切なことですし、歯ブラシよりも、食べ物にだけ気をつけていただければほとんどむし歯になることもないから多めになってしましました。

最近、お母様方からも色々なお話を伺う機会も多くなってきました。私の話を聞いて、3歳までジュースもあめも与えていません。というお母様の声を聞くと、記事を書かせていただいて良かったとつくづく思います。私の医院の収入にはつながりませんが・・でもいいんです。私はむし歯をなくすようにするのが仕事だと思っていますから、少しでもむし歯のない健康なお子さんが育ってくれればそれで満足なのです。

たぶん私が普段目が見えたり、普通に歩けることに感謝することがないように、恐らくむし歯のない健康な歯が育ってもその子はそれほど感謝をしてくれないかもしれません。しかし、ご年輩になって歯で苦労しておられる方を数々見てくると、どうしてもその起源をさかのぼると子供のころのむし歯や、歯の治療の弊害にいきあたります。

歯のない人にもとの歯があるように咬みたいと言われても私にはなかなかできませんが、むし歯のない健康な歯を育てることはほんとうに簡単にできます。しかもそれが、早ければ早 いほど簡単に無理なく達成できます。

先ほどのジュースやあめを食べないお子さんはお母さんが言うのには、本人はちっとも欲しがらないし、逆にレモンが好きと言ってレモンをかじるそうです。むし歯の多いお子さんは味覚がすでに甘い物にかたよっていますので、レモンをかじるなんてことほ考えられません。

ここまでいけば、私が目標としている20歳でむし歯のない歯が育つ可能性は99%達成されたようなものです。できれば―生健康な歯でいるのを見届けたいのですがどう考えても私の方が早く寿命がつきそうなので、とりあえず20歳を目標にしています。気の長い話ではありますが。ここまでうまくいけばこの手紙ももう読む必要がありません。

が、ほとんどのお子さんはそううまくはいきませんよね。普通はジュースもアメもおかしも食べます。それが普遍のお子さんです。ただ、普通にしてもらいますと。3歳で約4割、5歳で8割のお子さんにむし歯ができてしまいます。そして日本人の平均でいけば20歳で約8本の、むし歯をつくり80歳では7本しか自分の歯が残らなくなってしまいます。

これを読んでいただいている方の中には、味元先生は食べ物のことをうるさく言うので厳しい先生と思われているかたがいるかもしれませんが、うちの医院も全然きびしくありません。来ていただいた方はわかってくれているとおもいますが?ジュースやあめの害のお話はしますが、禁止もしませんし食べてもらってもいいとも思っています。ただ、むし歯になるほど食べ過ぎないようにしていただきたいと思っているだけです。

ある先生のお話で、体は食べ物で作られているという話がありました。とすると、病気も食べ物で作られる要素が大きいといえます。特にお口の病気であるむし歯や歯周病は99%食べ物で作られます。

糖尿病で目を悪くしているのに、めがね屋でメカネを作っても糖尿病は治りません。お口の病気もただ歯医者へ行って削って詰めたり、ブラッシングの方法を習っても治るものでほありません。病気の原因となったもとを断つのが最もいい治療法といえます。



この手紙も第8回目になりました。
今までさんざん食べ物のことを書いてきましたが、今回から具体的なむし歯予防のお話をしていきます。

むし歯の原因が砂糖の取りすぎであると言ってきましたが、ご家庭で砂糖を取りすぎないようにするのはなかなか難しいことでもあります。普通のご家庭にはお菓子は必ず置いていますし、冷蔵庫にはジュースも冷えています。冷凍庫には安売りの時に買ったアイスの買い置きもあることだと思います。

その結果5歳児の8割にむし歯ができてしまいます。
むし歯の予防というとほとんどの方は歯ブラシを思いつくのではないでしょうか。

残念ながら5歳児の子供もほとんど100%のお子さんが歯ブラシをやっています。それにもかかわらずほとんどのお子さんがむし歯になることを考えますと、歯ブラシでむし歯の予防はできないといえます。どうしてかといいますと、むし歯のできやすいところは奥歯の溝の部分だったり、前歯の歯と歯の間だったりします。

そこは どんなに上手に歯ブラシをしても、歯ブラシの毛先がはいっていきません。歯の汚れを完全に取り除くことが不可能なのです。今までさんざんジュース・アメの悪口を書いてきましたが、ジュースやアメによって糖分を含んだ唾液や水分は歯の溝や歯と歯の間にしみこんでむし歯を作っていくのです。

まだ 固形物による砂糖のほうが歯にとってはいいといえます。だからといって歯ブラシをしないともっとひどいむし歯になりますので、歯ブラシもきちんとしてくださいね。

歯ブラシで予防できなかったら、むし歯はどうやってふせいだらいいのでしょうか。ご安心してください。歯ブラシよりも簡単で確実な予防方法があるのです。

ご存知の方も多いかと思いますが、フッ素を上手に使っていただく方法です。
フッ素の利用方法は日本では大きく分けて3つの方法があります。

1,フッ素入り歯磨剤の使用
2,歯科医院でのフッ素塗布(3ヶ月毎)
3,フッ素洗口法

最も―般的なのが1のフッ素入り歯磨剤の使用です。10年くらい前までは日本におけるフッ素入り歯磨剤が市場に占める割合が40%くらいだったのが現在では90%以上になってきました。皆さんのお使いになっている歯磨剤もたぶんフッ素入りだと思います。

近年子供のむし歯が減少傾向にありますが、これは歯ブラシの技術が向上したのではなくて、市場に占めるフッ素入り歯磨剤の占有率が高くなったためと考えられています。

時々お母様から、何歳くらいから歯磨き剤を使ったらいいですか、という質問を受けますが、ブクブクうがいができるようになる3歳くらいからフッ素入り歯磨き剤を使ってくださいと指導しています。3歳までにむし歯のあるお子さまにはうがいをしなくてもいい歯磨き剤を使ってもらうこともあります。

2番目のフッ素塗布ですが、歯科医院で塗布してもらうフッ素のことです。歯磨き剤よりも濃度が高めで3ヶ月に1度くらいの割合でぬってもらうと効果があります。早いお子さんですと、1歳半くらいから来ていただいている方もいます。

3番目のフッ素洗口法ですが、―般的にはあまり知られていませんが、むし歯予防効果には最も効果があり安全で安価で簡単なすぐれた方法です。
水で溶かしたフッ素のうすめ液を1日1回ブクブクうがいしていただくだけで結構です。

ずっと行ってもらいますと、結構ジュースやお菓子を取ってもむし歯になりませんし、現在むし歯のあるお子さんでもほとんどむし歯が進行することがありません。うちの医院でもまじめにフッ素洗口を続けておられるお子さんは歯を削る治療をすることがなくなりました。むし歯の部分もカチカチに硬くなってきます。

もしフッ素洗口を続けていただけるのなら、20歳でむし歯のない健康な歯が育つ割合が9割をこえるのではないかと思います。現在の日本人で20歳でむし歯や詰め物のない人の割合が3割であることを考えますと、フッ素洗口をやらないのは大変もったいないことのように思います。1人が1ケ月やってだいたい150円くらいの経費です。自販機のぺットボトル1本分の値段です。

大人の方がやっても大変効果が高く、治療した歯が多い方や40歳以上で歯の根本にむし歯を作りやすくなっている年代の方は必ずおこなっていただきたいと思います。成人の方でもずっと続けていただくと歯の寿命が10年や20年は違ってくると思います。

フッ素洗口剤は今のところ歯科医院にしか置いていません。実践されたい方はかかりつけの歯科医院に相談してみてください。もしない場合にはうちの医院に買いにきてください。診察は受けなくてもかまいませんので。



前回、フッ素のことについて書かせていただきましたが、フッ素に対する安全性についてのご質間もいただいていますので、フッ素についての解説をもう少しさせていただきます。

フッ素は、地球上のあらゆるところに存在する物質で、土の中や、海・川の水、大気中、あらゆる動物、植物、そして人体にも含まれている元素です。例えば 海水では、酸素や水素、ナトリウムなどに続いて13番目に多く含まれ、人の体でも、酸素や炭素、塩素などに続いて12番目に多い元素です。

また、フッ素は必須の栄養素でもあり、あらゆる食品に含まれています。もし、フッ素をとらなければ、骨が出来なかったり、歯が出来なかったりする訳ですが、フッ素は水道水や食塩、砂糖、しょうゆ、みそ、お茶、魚介類、野菜、くだもの、その他あらゆる食品に含まれており、普段の食事でフッ素が不足することはありません。

ただ、なんでもそうですが取りすぎると弊害もでてきます。フッ素の過剰摂取により骨が硬くなる病気や、フッ素斑状歯という病気になることが報告されています。フッ素斑状歯は、アメリカで長年フッ素を大量に含む地下水を飲んでいた住民に斑状歯がみられたことで有名になりました。

しかし、現在の日本でフッ素を大量にとることはまずありえませんし、むし歯予防に使うフッ素の量で弊害をおこすことはありえません。

日本ではフッ素に封する偏見や間違った考え方のもとになかなかむし歯予防のためのフッ素が普及していません。世界の先進国では、むし歯予防のためにフッ素を使うことが常識となっています。

アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなど世界の56の国々でむし歯予防のために、水道水の中にフッ素が添加されています。アメリカでは約50年も前から水道水のフッ素化を行っていますが、弊害はなにも報告されていませんし、むしろすばらしい予防効果があらわれています。

フッ素水道水化を行っている国々では子供のむし歯はほとんどなくなってきていますし、歯の寿命も日本に比べると極端に長くなってきています。日本でもすこしづつフッ素の有用性が認識されてきました。

1990年には15万にだった集団によるフッ素洗口が1998年には22万人2004年には30万人以上の学童、児童が保育園や学校でフッ素洗口を行っています。高知県でもすこしづつフッ素洗口を行うところが増えてはきましたが、残念ながら南国市ではまだどこも行っておりません。

私は現在ある高校の校医を行っています。歯のいい生徒さんもいますが、なかには悲惨な生徒さんもおられます。ほんの数年前に生えたばかりの歯がもうすでにぼろぼろになっていて、これから長い将来のことを考えると、どう考えても―生歯が持たせることは無理です。高校生にして将来いれ歯が確実です。

もし、集団によるフッ素洗口が行われていればここまでひどくならずにすんだかと思うと残念でなりません。本人がことの重大性に気がつくのが、本当に咬めなくなる30過ぎてからですが、残念ながらこの時点では手遅れです。

私の診療室に来られる子供さんのなかにも、小学生まではむし歯がなかったのに、塾や部活で来院が途絶え、歯が痛むからと高校生の時に久しぶりにきたときには、他の歯も多くのむし歯をつくっている子供さんも珍しくありません。中高生で食生活が乱れることはある程度仕方ないにしても、フッ素洗口を行っていればこん低にひどくならずにすんだと思うことが多くあります。

フッ素洗口を行ってお口の中に残るフッ素の量はお茶を―杯飲んだ時に体内に入るフッ素の量とほぼ同じ量ですので、全く間題になることはありませんし、もし間違って数回飲んだとしてもまったく害はありません。

私はこれだけジュースの自販機やコンビニにおいしいものがあふれている現在、フッ素の利用なくしてはむし歯の予防は困難であると認識しています。

薬や医療は薬理効果や医療効果が副作用や弊害を大きく上回る時に使う物ですが、フッ素を使わずにむし歯になって、歯を削って治療するときの危険性や歯を削って細菌が血液中に流れ込むこと、むし歯の治療に使う金属の害や、金属アレルギーの問題、治療に使うプラスチックの環境ホルモンの問題や治療した歯の寿命を短くしてしまうことなどを考えると、フッ素を使ってむし歯を予防していくことは本当に価値のあることだとおもいます。

もしフッ素を使わずにむし歯を予防するとすれば、ほとんど砂糖をとらない食生活しか考えられませんが、現代生活で砂糖をとらないことは不可能です。

フッ素を上手に使って歯の痛みも知らずに、歯医者さんで歯を削られることもなく,―生自分の歯で80歳になっても、なんでもおいしく食べていただきたいと願っています。


今回は、読者の皆様から少しご質問をいただいていますので、その質間にお答えしたいと思います。

質問1
歯ぎしりをしているようで、歯が短くなってきています。マウスピースやキシリトールガムを勧められましたが、今の歯を強化するような方法はないのでしょう?

答え
時々乳児の患者さんのお母さんからも似たようなご質間をいただくことがあります。乳児の歯ぎしりはたいへん頻度が高くよくみられます。大きな音がしたり、歯がすりへったりするので、お母さんがびっくりするみたいですが、通常は永久歯が生えそろう7歳くらいになるとしなくなりますから、心配いりません。

マウスピースも私の医院では小児には作ったことはありませんのでご安心ください。ただ、大人の歯ぎしりは歯に悪い影響を及ぼします。歯周病を悪化させたり、歯に亀裂を生じたりして歯の寿命を短くします。

歯ぎしりといえば、歯と歯をすりあわせて音がすることを指すことが多いですが、広い意味では、歯を強く食いしばったり、歯と歯を絶え間なく咬みあわせたりすることもさします。通常は無意識におこなっていることが多く、特に寝ている間に行っていることが大半のようです。通常食事を行ってる時は、歯と歯の間に食べ物が介在しますので、食事で歯がすり減ることは、よっぽど硬い物を海日とらないかぎりはありません。

もし、ご自分の歯を鏡で見てみて歯がすり減っているようであれば、音はしないかもしれませんが、歯ぎしりをしている可能性が高いといえます。成人の場合は、歯ぎしりがあまりひどい場合にはマウスピースを寝ている間だけ使ってもらう場合もあります。

質問2
いつから歯ブラシを使わせたらいいですか。1歳で上2本・下2本の4本はえていますがガ―ゼなどで歯のケアーをしたほうがいいですか?

答え
歯がはえはじめたら、ガーゼや綿花でふいてあげるのもいいですし、歯ブラシは1歳くらいからすこしづづでいいです。

今まで、この手紙を読んでいただいた読者の方々はもうご理解してくれていると思いますが、離乳期に甘いジュースなどがいきすぎなかったり、ほ乳瓶にスポーツドリンクなどを入れて飲まさないかぎりは、そんなに歯を磨かなくてもむし歯にはなりません。

逆にジュースやアメが好きになってしまえばいくら歯を―生懸命磨いてもむし歯になっていきます。

質問3
子供の歯のケアーに使う簡単なあまり害のないフッ素のようなものがあるとききましたが、どのようなものでしょうか。うがいのできない子供にも使えるむし歯予防の製品を教えてください。

答え
3歳くらいまでは、食べ物に気をつけていただくだけで、そんなにむし歯になることはないと思いますが、なかには3歳までにむし歯になられるお子さんも数多くおられます。そういったお子さんには、食べ物、飲み物に注意してただいた上で、フッ素洗口剤を歯ブラシにつけてみがいてもらったり、抱が立たず、ロをゆすがなくてもいい歯磨き剤を使ってもらうこともあります。

商品名としてはホームジェル、ジェルティン、スタンガードといったものがありますが、ほとんどの商品は量販店にはなく 歯科医院でしか置いてないようです。他にフッ素のスプレー(レノビーゴ)などもあります。

質問4
抗生剤の長期服用の副作用で歯に色が付くと聞いたのですが、抗生剤の名前を教えてください。

答え
乳幼児期の抗生剤の服用で永久歯の歯の色がグレーっぽい色に変色することがあります。頻度的には結構多いように感じています。統計をとっている訳ではありませんが軽度まで含めると40〜50人に1人はいると思います。

テトラサイクリン系の抗生剤に多いと習いましたが他の抗生剤でもあるかもしれません。中耳炎や気管支炎 、風邪などでも抗生剤の長期にわたる服用はなるべくさけた方がいいかと思います。

成人になって漂白すればすこしは白くなりますが完全にもとに戻ることはありません。他にはラミネートベニアや差し歯にする方法がありますが、歯を削るという欠点があげられます。

質問5
妊娠初期のママからの質間で、今フッ素洗口をしていますが、胎児に影響ないですか。

答え
全くありませんので、ご安心ください。


早いもので、私の医院も開院して15年が経ちました。
今でこそむし歯ほ予防が大事といいながら、この手紙も書かせていただいていますが、開業したてのころは、歯の悪い愚者さんが来られると、腕のみせどころだと思って―生懸命歯を削っていました。

人によっては1年くらいかけて治療を行い、また、保険の利かない治療は自費を頂いているものも多くありました。自分としては精―杯の治療を行ってきましたが、自分の治療が10年くらい経つとなかにはトラブルをおこしてくるものもあります。何も悪いことをしていないのに後ろめたい気持ちでした。

また、他の患者さんでは、他医院で治療したものが悪くなって再治療になる。こういったことの繰り返しでした。患者さんは、歯が悪くなったらまじめに歯医者に通って治療を受け、そして、歯医者ほ―生懸命に歯を削って治療をする。しかし、歯は長持ちしない。当初これは、私の治療技術が未熟なせいだと思っていました。

開院して3年目の頃、山形県酒田市で開業しておられる熊谷先生が、ご自分の著書や講演で、「治療した歯はいつかはだめになる。歯を長持ちさせるのには、歯を削らずに予防していくのが最もいい方法である」と言っていました。

私の求めているものはこれだと直感しまして、その後スタッフを連れて何度か見学に行ったり、講演を聞きに行きました。この時から、歯を削って詰める歯科治療から、健康な歯を守り育てる歯科治療へ転身できました。

治療の目で患者さんを診させていただきますと、レントゲンを撮って悪いところがあれば抜歯してブリッジを入れたり、義歯を入れたり、また、むし歯を見つけて神経を取ってかぶせたりということしか頭にありませんでした。

しかし、予防の目で患者さんを診させていただくと、どうしてこの方がこのようになったのかを考えるようになりました。

例えば、30歳で第―大臼歯が抜歯されてブリッジになっているような場合、第―大臼歯を抜歯されたのが25歳の頃で、抜歯の前に歯の神経を治療したのが高校生のとき、そして最初に治療した小学校の低学年まで推理がさかのぼります。小児期の歯の治療もさかのぼれば、川の源流にたどりつくように、妊産婦さんや0歳からの健康学習が―番大切であることに気づかされました。

残念ながら、お母さんやお父さんのように、たくさん治療した歯をもとの健康な歯に戻すことは不可能ですが、小さい頃からお母さんに協力してもらいますと、ごく目然に、簡単にむし歯のない健康な歯をそだてることができます。

むし歯のない健康な歯に育つのと、むし歯だらけの歯に育つのでは、その子の体の健康や苦痛の面や、見た目やお金の面でもものすごく差がついてしまいます。もしかしたら寿命もちがってくるかもしれません。

この手紙を書かせていただくようになって、数多くのお母様ともお知り合いになれましたが、私の言ったことをほんの少し実践していただいて、ほとんどの方がむし歯のない健康な歯に育っているのをみると、この手紙を書かせていただいて良かった、十数年前に予防歯科に出会っておいて良かったと思います。

その子やお母さんは特別むし歯予防を頑脹っているわけではありません。ごく自然に無理なく取り組んでいます。私の医院にきてくださる方も多くいますが、来てくれていないお子さんもいます。 私はけちですが、けちなことは申しません。むし歯のない健康な歯を育てるのがライフワークだと思っていますので、むし歯のない歯が育ってくれればそれで満足です。

先日も6歳から通ってくれているお子さんが20歳になりました。まじめに健診に通ってくれてむし歯のない健康な歯になりました。本人は目が見えたり耳が聞こえたりするのと同様に、健康な歯が当たり前で別になんとも思っていませんが、歯の治療で苦労されたお母様がたいへん喜んでくださいました。

仕事はつらいこともありますが、歯医者をやっていて良かったと思えるひとときです。20歳までいけば50歳くらいまではまずむし歯になることはありません。98%くらいの確率で―生自分の歯ですごせることでしょう。



この手紙もいよいよ最終回になりました。

お読みいただいてありがとうございました。あれも言いたかった、これも書いておけば良かったと思いながら充分とはいえませんが、だいたい歯のことをご理解していただいたかと思います。

最後に私の言いたいことを3つにまとめてお話します。

1,歯を悪くして歯を削る治療を続けていても決して歯が良くなることはなく、逆に悪くしていることもある。

2,いったん歯を悪くするともとに戻すことほ難しく、歯に穴をあけず、歯を支えている骨を減らさず予防してゆくことが最も安全で、安くて、痛くなく、きれいな治療である。

3,歯の予防は簡単です。特に、むし歯のない健康な歯を育てることは、お母様がほんのすこしだけ歯に関心をもっていただくだけで簡単に育ちます。

1についてですが、現在日本人のほとんどの方のお口の中に、金属やプラスチックの詰め物が入っています。また、入れ歯になる人の割合も高く、70歳を過ぎればほとんどの方が入れ歯になってゆきます。これは、歯医者に通わずに歯を悪くしているのではなく、まじめに歯医者に通い、お金と時間を費やしながら歯を悪くしているという現実があるのです。いったん、歯を削って治療しますと、治療した歯が一生もつということはなく、だいたい10年のサイクルで再治療が行われ、抜歯へと近づいていきます。

特に大きな弊害となっているのが、学校検診であると私は考えています。毎年ある検診で小さねむし歯も見つけられて、歯医者で削られて治療されます。その結果、現在の日本人で、詰め物とかむし歯のない人の割合が3%という悲惨な現実になっています。おそらくスイミー通信をお読みのお母様のお口のなかにも、高価な詰め物やかぶせ物がはいっているのでほないかと思います。

本来20歳から50歳くらいまでは新しいむし歯ができにくい年代でもありますが、この年代の方のむし歯治療の大半は20歳までにした歯の治療のやり直しです。

また、20歳までに歯を治療してしまいますと、歯の寿命も短くしてしまい、―生自分の歯で食べることが難しくなります。そういう意味でも、むし歯のない歯に育つということは大変価値の高いことであります。

2についてですが、ほとんどの方は歯が悪くなれば歯医者行けばいいと考えています。

これは間違いのないことですが、歯医者で行われる治療の大半は、歯を削って詰める。歯の神経を取る、歯を抜くといった行為で、歯にとって取り返しのつかない行為が大半です。これらの処置は、穴のあいたところを詰めたり、歯の痛みをとったりすることには大いに役立ちますが、決して歯の寿命を延ばす処置ではありません。

むし歯・歯周病といった歯の病気はいったんかかってしまうと完全に元通りにもどすことはできません。むし歯の治療でいいますと、穴のあいたところを金属やプラスチックで詰める、いわばパッチワークのようなものです。

いくら歯科材料が良くなったといっても詰め物との境目は弱く、そこからむし歯になったり、詰め物が脱離したりする可能性はあります。また、歯を悪くして、入れ歯になってはじめて歯の大切さを痛感されるかたもいます。残念ながら、私は神様でないので、ない歯を元通りにはできません。

私は歯医者になったから感じるのですが、よく愚者さんは入れ歯で我慢して食べておられるな―と感心します。自分で作っておきながら・・私は目分が歯を悪くすることは絶対いやですし、まして、入れ歯になることなんて考えられませんし、入れ歯を入れることもできないと思います。そういう意味でも、入れ歯を上手に使われておられる方は尊敬します。

ですから、現在治療した歯は多くありますが、人に歯の予防の話しをする手前、ジュースも飲まないようにしていますし、フッ素洗口も行っています。うちの衛生士にも時々歯を磨いてもらっています。おかげでなんとか入れ歯にならずにすみそうです。

最近ではインプラント治療もおこなわれるようになってきました。インプラントを入れられた患者さんほは具合いいと言ってくれますが,骨の状態などで難しい場合もありますし,1本30〜40万くらいの相場ですので高くつきます。手術も必要ですし、リスクも伴います。

どう考えても、神様からいただいたきれいな歯を―生使うのが健康的にも、審美的にも時間的にも経済的にも一番いい方法だといえます。

3についてですが、この手紙を読んでいただいている方にとってはもう復習になります。

私の医院にもたくさんのお子さまが来られます。むし歯の多いお子さんもおられますし、むし歯の全然ないきれいな歯をしたお子さんもおられます。出発点は同じだったのにどうしてこんなに差がついたのでしょうか。その―番のキーパーソンはお母様にあります。


私の話を聞いてくれたり、小冊子を読んでむし歯予防を実践していただているお母様は、無理なくむし歯予防に取り組んでくれています。4〜5歳くらいになるまでなるべくジュースやアメを与えないようにするだけで、70%はむし歯はできませんし、プラスフッ素洗口を行ってくれれば90%できません。なおかつ、定期健診を行っていけば100%むし歯のない健康な歯が育っていきます。

むし歯の多いお子さまは必ずジュースやアメを食べています。それでも、歯の大切さに気がついてジュースやアメをやめてくれたりして、頑脹ってむし歯予防に取り組んでくれているご家庭もあります。そういうご家庭の方はフッ素洗口もやってくれるのでこれ以上むし歯がすすむことはありません。

でも、なかなかむし歯予防に協力していただけないご家庭では、フッ素洗口もやってもらえないことが多く、どんどんむし歯ができていきます。そして歯が痛くなってから来られて麻酔して歯の神経を取ったり。歯を抜歯したりすることもあります。

習慣というものは恐ろしく、ジュースやアメを食べる習慣がつきますと、小学校へ行っても中学校へいっても高校へ行っても大人になってもその習慣は続きます。特に親御さんの手が離れる中学生くらいから、塾やクラブ活動でジュースを飲みますし、大人になれば缶コーヒーを飲むようになります。残念ながら―生歯で苦労します。これだけコンビニや自販機がある国では、食に対する健康観を小さい時からおしえておいてあげることが大切です。

健康にいいものならおすすめするのですが、お金を払ってジュースを飲んでむし歯になったり、肥満になったりします。そして、歯医者で治療してお金を払い、病院で薬をもらって飲んでいます。これでは健康になることはありません。性格も短気になってきますし、家計も貧乏になっていきます。

皆様のお子さまが歯だけでなく体も心も健康に育っていくよう応援しています。
ありがとうございました。



ご希望の方に
● 小冊子1
『子育て中のママ必読!
 歯医者さんが話す 絶対☆むし歯にならない方法』
● 小冊子2
 『大切な歯を失う前に・・・
  これで安心! 80歳になっても健康な歯で暮らす方法』
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をお送りしています。

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